分散・コーティングの基礎知識

分散とは?

溶けない物質を目に見えないほどの小さな粒子にして、別の物質の中に均一に散らばせることを分散といいます。

大成化工の事業の核となる顔料分散では、顔料という溶けない着色原料をポリエステルなどの樹脂に分散させるために、顔料粒子を細かくして、着色したい樹脂に混ざりやすくします。

普段よく目にする洗濯機です。私達の目には白色に見えますが拡大すると白色の粒子が樹脂に分散しています。

分散とは?

分散された顔料はどのような場面に使われているのでしょうか?

私たちの生活環境は、さまざまな色に満ちあふれています。布や紙、金属やプラスチックなどですでに着色されているものや、絵の具やぺンキ、印刷用のインクやコピー機のトナーなど、色をつけるためのものなど数も種類も豊富にあります。顔料とは、ものに色をつけるための材料のひとつなのです。

 

顔料粒子の分散とは?

例えば、光沢のあるお菓子のパッケージには、アルミ箔の上に赤や黄色のインキが載せられています。赤のインキには赤色の顔料、黄色のインキには黄色の顔料が「分散」されています。

顔料粒子が均一に「分散」されていないと、色むらがでたり、顔料粒子が大きすぎると、アルミ箔の光が透過せずに光沢がなくなります。色むらや透過性には、顔料粒子の大きさも関わっています。インキの中に散らばっている顔料粒子は大きさが均質でないと、その色調に色むらがでてしまいますし、顔料粒子の大きさが細かければ細かいほど透過性が増します。

紙に色を付ける場合

大きな粒子を小さくし、大きさを揃え、均一に「分散」させることがきれいな色をつくるための課題のひとつになります。顔料粒子を「分散」させたものを顔料分散体といいます。

色むらあり
顔料粒子の大きさが均質でないと、インキの表面がでこぼこしてしまい、色むらがでてしまいます。
色むらなし
すべての粒子が同じ大きさになると、インキの表面が均一になり、色むらが少なくなります。

コーティング材とは?

物質の表面に、その物質本来の性質とは異なる性質を加えることを「コーティング」といいます。コーティングには、めっき(素材の表面に金属の薄膜を生成する)、溶射(コーティング素材を熱で溶かしてはりつける)、化成処理(素材の表面に化学反応を起こして性質を変える)など、いくつかの方法がありますが……すこし、部屋の中や窓の外を見渡してみてください。

建物や自動車、室内の壁、プラモデル、雑誌、ホワイトボードのマーカーなどが、お近くにありませんか? こうしたものの表面にもコーティングは施されているのです。これら身の回りのもののコーティングは、ほとんどの場合、素材に何か別のものを直接「塗る」ことによって施されています。

「塗る」ことによるコーティングは、素材の大きさや形、製造過程での素材の状態を選ばずに行えるため、数あるコーティングの方法の中でも、最も親しまれ広く普及している方法のひとつです。「塗る」ことによるコーティングの仕組みは、下図のようになっています。

コーティングの仕組み

コーティングの仕組み
溶質: 塗料の性質を決める素材です。撥水性、耐候性、磁性など、多種多様な性質のものがあります。
溶媒: 塗る対象の性質にあわせて、良くなじむ最適な物質を選びます。

溶媒の中に溶質が散らばっていることを、分散と言います。コーティング材は、色や性質にムラが出ないよう、液状分散技術により、均一に分散されています。

塗料によるコーティング

自動車の車体の表面をよく観察してみると、水をはじく加工(撥水加工)や、輝くように美しく見せる加工(つや出し加工)がしてあります。他にも、金属製の家具の表面などには、素材となる金属をさびさせない加工(防錆加工)がしてあります。

こういった性質は、もともとの物質の表面に他の物質をコーティングすることによって与えられています。つまり「塗る」ことによって「機能」が与えられているといえます。

塗料によるコーティングでは、質感をがらりと変える、本来の性質を強化して保護する、本来持っていないはずの「機能」を持たせる、など単に「色を塗る」以上のことが行われているのです。